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九段 荒巻三之
食事とおやつについて
好き
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・コーヒー
「棋士いきつけの店-8-」珈琲の店ぴいぷる 荒巻三之八段
荒巻八段は開店した昭和四十九年からの常連客で、当時はコーヒー一杯が二百円だった。「ぴいぷる」で最初に飲んだ"モカ"の味が忘れられず、それ以来今日までモカしか飲まない。
「わたしはモカが好きでね。この店のいいところは、十年間コーヒーの味が変わらないところだね。コーヒーの味は人間の持ち味と一緒だと思う。それぞれの持ち味が変わってしまったり、なくなってしまったりすると、つまらないものになってしまうんだよね。もちろん、将棋の棋士もそう。個性が変わらないのが実にいいんですよ」
と荒巻八段はコーヒーカップを手にしていう。
荒巻八段がコーヒーに興味を持ったのは今から五十数年前。師である故・花田長太郎九段がコーヒー好きだったことから、暇さえあればコーヒーのおいしい店を探し求め、花田九段と一緒に飲み歩きをしたのがきっかけ。
荒巻八段が一番、思い出に残っているのは、昭和十年ごと西銀座にあった「耕一路」(こういちろう)というお店のコーヒー。なんと一杯、一円もするコーヒーだった。一円あれば、映画を見て食事をして、お茶を飲んでもおつりがきたほどの額。
「一円っていうと今では二千五百円から三千円ぐたいですから。一円コーヒーを飲んだ時は、確かにおいしいとは思ったけど、ハッキリいって訳がわからなかったね」
(中略)
戦時中、荒巻八段は招集を受けて、パラオに行かれた。そこで偶然にも丸田九段と出会ったという。
「わたしは二等兵だったけど、丸田さんはたしか軍曹ぐらいでわたしより偉かった……。いろいろ懐かしい思い出ですよ。ただ一番残念なことは、何よりも好きなコーヒーが飲めなかったんだよ」
(中略)
「コーヒーを飲むのは、理屈じゃない。飲みたいから飲むんであって、理屈をつけて飲みたくないね」
(出典:週刊将棋1984/5/23より)
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