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八段 本間爽悦
食事とおやつについて
その他
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このようにしてさて晩酌ともなるとこの妙味ばかりは酒飲み以外にわからない格別なものだ。元来ビール党だがこう涼しくなっては日本酒が一番マサッている。私は酒でも少し大きい型のコップでやるのがよい。ツマミにはとりたて注文なく棋誌の星取り表棋戦展望をながめていても十分(こいつは好成績の折りでないと味が落ちる)だが寒さに向うにしたがい土ナベをヒンパンに用いるようにする。といって別段高級なネタを仕入れるわけでなく簡単に自家製ですませる範囲のものを選ぶ。
誰でもしっている"湯豆腐"は酒に調和がいい(ビールにはやや不向き)京都には豆腐料理専門の店もあってこれの天プラまで喰べさす。ところがかへって"食いだおれ"の大阪にあまり見当らない(あっても宣伝不足なのか)ただアルマイトなべに"一丁あがり"とできあがったのを持ってくるところは多いが……。
ダシ昆布に豆腐を水だけで煮き別皿(鉢)へ醤油に味の素をときさきのダシで適当に薄める。そして花鰹とキザミねぎを布いてご本尊を載せその上にまた花鰹にねぎや海苔をふりかけるとできあがる。この方法は私式でちょっと変則だが他に七味唐がらしなど(好みでなにをふりかけてもよし)を加へるのおもよいだろう。なお柔らかいのよりも締まりをつけたければ煮るときに少量の塩を投げこむと効き目がある。
主役を平らげてしまうとこのナベにうどんの玉を入れ、これを前の皿に移しながら喰べれば(うどんの水だき?)また違った風味があって割合いただけるものだ。
右の順が頼りないときは牛肉と豆腐に水を多量にして、醤油のみで味つけしたやはり京都風の汁兼用のナベも悪くない。
種がだんだん尽きてくると随分怪しげなのが登場しだす。干し棒ダラを水につけて細かく切り鰹節を十分使って白菜と煮ながら喰べる。また棒ダラを油揚げに換へて、同じやり方など、以上いずれも煮きながらでないとダメだが、後者の白菜ダキは
「クフウしてうまく喰べなければ……」
といわれた中井先生ゆずりの直伝のものである。
先生は、少年時代、大阪・船場(センバ)に奉公され食事の粗末さに尻を割ったとよく語ってられた。それが理由か私達内デシにも平等の食事だったのは幸せであった。例へば朝から焼き肉なら"今日は先生が対局か"だし奥さんより鰹ブシを山盛りケズッて欲しいと頼まれたら"夕食は鯛ナベ"という具合いに察しがついたものである。
ともかく、鯛の刺し身でどこの海のものか、しいたけ一つみても春にとれた分などと口に入れずにわかる先生なので食い物にはウルサク(舌も敏感だ)奥さんも相当悩まれた様子だった。
塩鯖に大根の輪切りないし薄切りだけの汁(色づけに醤油をたらすもよし)がセンバ汁で、なかなか頭脳的な喰べ方だと関心している。呼称より推測して船場あたりが発生地らしくもしもあたっておれば分限者(ブゲンシャ・金持)料理ということになる。経済的にして乙なものと思うが、どうしたわけなのか大阪人にもしらないものが多いのは少し奇妙なようだ。
手軽るなものがつい"安もんナベ"の講習みたいになってしまった。だが試しにやってごらんなさい、そうみくびったものでもないから……。
(出典:将棋世界1963年12月号 「分限者汁ほか」七段本間爽悦より)
タイトル戦
年度 |
期 |
棋戦 |
氏名 |
段位 |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
勝 |
敗 |
|
1964 |
05 |
棋聖戦 |
本間双悦 |
七段 |
|
岡山県倉敷市 「くらしき」 (1964/12/20日) |
静岡県熱海市 「美晴館」 (1964/12/29火) |
東京都港区 「福田家」 (1965/01/11月) |
|
|
|
|
0 |
3 |
挑戦失敗 |
|
●大山 午前: 昼食: 午後: 夕食: |
●大山 午前: 昼食: 午後: 夕食: |
●大山 午前: 昼食:軽いサラダ レモン水 午後: 夕食: |
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トーナメント戦
年度 |
期 |
棋戦 |
|
氏名 |
段位 |
|
|
勝 |
敗 |
|
1964 |
04 |
棋聖戦 |
挑戦者決定戦 |
本間爽悦 |
七段 |
●関根 昼食: |
●関根 昼食:牛乳2本 |
0 |
2 |
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