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名誉九段 加藤治郎
食事とおやつについて
その他
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それはたしか昭和三十六年の大山名人対丸田八段の名人戦が福岡で行われた時のことだが、その時の立会人が加藤治郎八段であった。
ところが加藤治郎さんは対局前夜にひどい下痢をして一睡も出来なかった。
で、初日の立会いは副立会人の某八段にまかせ、朝食は抜きにして静養したが、下痢は一向におさまらなかった。
そのうち昼食になったが、皆が鰻丼を取ると聞くと鰻好きの治郎さんは矢も盾もたまらなくなり、立会いに来ながらこんな不甲斐ないことでどうするのだと自分で自分を叱りつけ、
一同の止めるのも聞かずに鰻丼を注文し、ピーピー腹を抱えながら随分と分量のあった鰻丼をすっかり平らげてしまった。
皆は呆れ返ったり、ひどくなって病院に担ぎ込むような事態にならねばよいがとヒラヒラしたが、これも不思議なことにそれで下痢がピタリとやんでしまった。
そして、皆は「下痢の神さまだか悪魔か知らないが、顔負けをして退散したのだろう」と話し合った。
加藤治郎さんは早大出のインテリだが、そうした利かぬ気のところはやはり勝負師であり、世の中にはこんな理外の理もあるものである。
(出典:「関根金次郎物語」倉島竹二郎 弘文社 1974 p77,78より 適宜改行を施した)
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