各コマの使用理由及び質問事項



漫画「将棋めし」をリアル将棋めしファンが考える。


将棋世界1998年8月号で、佐藤康光八段が竜王戦で鍋焼きうどんを頼んだ後に大ポカ(△8四銀とただ捨ての好手を指したつもりが、▲6四桂と王手する手があり、銀を捨てただけの手になり夕休後高橋九段が指した後そこで投了)をした前例がある。
佐藤康光八段はその6日後に名人を獲得しており、なゆたも玉座を獲得。縁起が悪そうに見えて将棋めし的には縁起が良いという、リアル将棋めしファンにとってはハイコンテクストな描写ではないか?
↑級位者の我々が大盤使うとしたらここですかね?


将棋世界2004年4月号で増田裕司五段が、
記録係をしていた頃、天ぷらうどんを注文したある棋士の対戦相手が、「天ぷらうどんに、カツ丼をつけてくれるかな」と注文していて、勝負の世界は厳しいものだと思った。
と書いていた事があり、リアル将棋めし的には鉄板のネタ。
この回は「ほそ島や」なので、メニューは「天ぷらそば」になるという細かい所も見逃せない。


第29期竜王戦第1局の天龍寺対局では、丸山忠久九段が2日目の昼食休憩時にカロリーメイトを3本、水を3本、立会人の井上慶太九段に頼んでいる。
黒瀬はカロリーメイトはなく水6本だが、本数といい天龍寺対局での注文といい、これもリアル将棋めし的にハイコンテクストなネタ。


将棋めし1話の描写から考える。


4コマ目の逆三日月は、10月の月齢28だとすると、月の入りは大体17時頃。つまり16時前位の描写か?
とすると、4頁の時計は17時なので、なゆたは「さてと夕食どうしようかな」とおやつを食べた後1時間考えている計算になる
(16Pで18時に月がまだ空に浮かんでいる事との整合性は取れず。ただの月警察)。


各対局場とカレーとの組み合せを考える。

第1局・東京
椿山荘?王座戦では第53期の第1局。羽生王座がシュリンプカレーを頼んでいる。ただしここでシュリンプカレーにすると、チキンカレーを食べる場所がなくなる。
第2局・大阪
ウェスティンホテル大阪。レストランにシュリンプカレーあり。
第3局・新潟
龍言。カツカレーで決まり。海鮮丼もよく出る対局場のため、4コマで宝山が海鮮丼を頼んだ場所も龍言か。
第4局・仙台
仙台ロイヤルパークホテル。ポークカレー。


ここまできて、第5局は何処なのか?という問題。読者が自由に推理ができる。
椿山荘のカレーであるが、椿山荘はそば処無茶庵なので関西風のダシのうどんは用意できない。
椿山荘と対局場の部屋が異なるので、読者が想像できる余地がある。(私は今井荘と推定)


食事の内容を盤上の戦いにも投影するという、作者と将棋監修の渾身の描写(個人的に好きな箇所)



キャラクターの注文から考える。


宝山玉座の食事注文。量が多いだけであまり特徴が掴めない。ある意味で特徴が掴めない所に特徴が出ているのか。


占いで食事を決める杜谷龍王。占いに凝るようになった理由はどこから来ているのか(21歳で降級したのがきっかけ?)


黒瀬の食事注文は将棋に影響を与えない事をまず考えている。
外食するのも、桂の間で一緒に食べる事によって思考を乱されるのを嫌っているのか?


大河はいつも丼ものを食べている(58pは「ほそ島や」のカツ丼。79pは「みろく庵」の丼もの)。
丼ものを食べるのは豪快な棋士であるというのは、戦前に倉島竹二郎が指摘する所。


久米島棋帝の注文は、4巻の陣屋カレー回といいすっかり飯キャラになっているが、元々少食で有名な人が食に拘るようになったきっかけはどの辺りにあるのか?
(将棋めし内で将棋めしの流行などあったりするのか?)


棋帝戦は持時間4時間。持時間4時間は元々夕食休憩の設定があり、夜戦もありえる。
この回の勝因は相手より量の多い上まむし丼で、長い持時間を乗り切った所にもあるのではないか?



その他


松本先生の好きなコマという事で許可を取りました。(使う時があれば、指示していただければスライドに映します)


七窪回は将棋めしファンはどう思考しているのか、という事を分かりやすく伝えてくれる回。
この、注文内容を見てファンが勝手に想像をする、という事が将棋めしの世界の本質ではないか?


最後の〆で使います(田代さん、質疑応答の時間に入るためそろそろ終わりにしようとする際、私に振って下さい)。
プロとアマの違い、アマの楽しみ方には無限の創造性がある、というなゆたの考え方は、将棋世界1946年8,9月号の巻頭言の加藤治郎名誉九段の考え方と一緒です。
この回でこう描ける松本先生の凄さを巧く観ている人に伝えられたら…と個人的には思うのですが、私が何処までできるか……(力量不足でごめんなさい)。


漫画「将棋めし」の掲載許可を貰ったものはこれで全てです。